<%@LANGUAGE="JAVASCRIPT" CODEPAGE="65001"%> アブストラクト

壊れやすい超伝導状態を活用すると、 ~1 meV以上のエネルギー量子に感度が ある検出器を作ることができる。光子検出では、原理的には、統計的に半導体検 出器より、30倍高い光子エネルギー測定精度(エネルギー分解能)を達成でき る。この高いエネルギー分解能を数 keV以下の軟X線領域エネルギー分散分光に 応用して、化合物半導体の軽元素ドーパント等のX線吸収分光(XAFS)測定を可能 とする超伝導分光装置を開発している。 分子検出では、検出器表面でストップするような数keVの高分子に対しても、 フォノン励起を通じて高い感度を有し、運動エネルギーの測定も可能になる。こ の特性を活用すると、従来、分子量/電荷数比(m/z)でイオンを分離していた質量 分析において、分子量を一意に決定できるようになる。また、質量分析 で”neutral loss"として知られている限界を克服でき、異なる中性粒子の分離が 可能になる。このように、従来の計測技術の原理的限界を超えることができる超 伝導計測技術の現状について報告する。

単一磁束量子(SFQ)回路は、高速低消費電力を特長とする超伝導回路であり、半 導体CMOS回路以外でランダムロジックの集積回路化の研究が進められている唯一の回 路と言っても良い。すでに、簡単なマイクロプロセッサや信号処理回路が20-100GHz で実証されており、研究のフェーズは更なる大規模化・高機能化とともに小規模シス テムでの有用性の実証へ移りつつある。

その小規模システムとして、アレー化された超伝導検出器とSFQ回路を組み合わせ たシステムが研究されている。検出器としては、超伝導転移端センサやナノワイア検 出器、あるいは超伝導トンネル接合検出器が用いられ、アレー化することにより、検 出面世紀の増大や空間分解能の向上が期待されれる。一方、SFQ回路はその初段で検 出器からの信号をデジタル化、信号処理したのち、一般には各検出器の信号を多重化 して室温へ送り出す。信号処理回路では、雑音を抑制したり、信号を圧縮するなど、 アナログ回路では得られない機能が実現される。

講演では、SFQ回路の基礎とともにSFQ回路と検出器を組み合わせたシステムの開発 事例を紹介する。