Abstract:
Ashra-1は、超高エネルギーのニュートリノをはじめとする宇宙線による空シャ ワーが大気中に残す大気発光(チェレンコフ光と蛍光)の飛跡を集光して撮像す る。機能からいえば、高エネルギー加速器実験で馴染み深い光変換型の粒子撮像 検出器といえる。ただし、加速器ビームを用いた実験と違い、いつどこからどん な粒子が来るか分からないまま、荒野の夜天の中で待ち構えてうまく撮像しなけ ればならない。そこで、まず大気発光を広視野、高精度、高速トリガーによる撮 像といった一見互いに矛盾する要求を満たすことが望まれることになる。その要 求を根本的に満たすため、Ashra-1では、広視野高精度の集光器の焦点面以降 に、光電撮像パイプラインと名づけた「自動シャッター高速カメラ」を配備して いる。

光電撮像パイプラインは、
1)焦点面に集光された光を更に1インチサイズに静電レンズによって"集光"す る世界最大の20インチ口径イメージインテンシファイアである光電レンズ撮像管、

2)光電レンズ撮像管からの出力像を輝度と分解能を損なわずに(50%コントラ ストにて約30LP/mmを達成)、トリガーセンサーと精細撮像センサーに光伝送する 光分配リレーレンズ系および光ファイバー系、

3)分配された同じ像に対して高速にトリガー判定する64×64画素トリガー画素 センサー、および、

4)そのトリガーセンサーによって得られた撮像すべき部分領域のみを露光し、 読み出す2096×2096画素の精細撮像センサー の部品からなる撮像デバイスである。

これらにより、圧倒的な画素コスト効率を実現して、広視野を高分解能にて覆う ことを可能にし、さらに、チェレンコフ光や蛍光によるシャワー飛跡や天体によ る閃光といった、継続時間の全く異なる事象をマルチにトリガーをかけることが 可能となる。 本講演では、Ashra-1で開発された光電撮像パイプラインの開発と、さらに進化 が期待される次世代巨大ニュートリノ望遠鏡NTAにおける撮像デバイスへの展望 について述べる。



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