9月30日(水曜)
13時~14時半


講演題目: 荷電粒子ビーム環境における超伝導遷移端X線検出器の性能評価
講  師: 竜野 秀行氏(KEK/NIST)
場  所: 4号館3階輪講室2



Abstract:
 反陽子、パイ中間子、K中間子といったハドロンと原子核に働く強い相互作用 を精密に調べるためには、負電荷のハドロンと原子核がクーロン束縛した系であ るハドロニック原子のX線測定が有効である。特にストレンジクォークを含むKマ イナス中間子は原子核と強い引力を及ぼすことが知られていて、近年、K中間子 の原子核束縛状態の存在も示唆されており、非常に興味深いシステムである。し かし、その強い相互作用の光学ポテンシャルの深さの解明には実験精度が不十分 であり課題が残されている。
 我々は、超伝導遷移端(TES)X線検出器をK中間子原子分光に利用し、一桁以上 の精度向上によってK中間子と原子核に働く強い相互作用の解明を目指してい る。本講演では、PSI(スイス) で行ったTESによるパイ中間子原子X線測定実験を 基に、実験手法、6.4keV付近のX線エネルギーの絶対精度、荷電粒子が飛び交う 環境におけるTESの性能評価やバックグラウンドについて報告し、分解能悪化の 原因、改良可能性などを議論する。

担 当:幅(junji.haba at kek.jp)