先端計測実験棟・大実験室内
クリーンルーム


最近の事柄


概要

先端計測実験棟の大実験室内に設置されているクリーンルームは、2007年から建設が始まりました。2008年11月には、シリコンやサファイアのウェハ上に薄膜を作製するために、スパッター、ドライエッチング装置、蒸着装置などのプロセス装置群が理化学研究所から移設されました。クリーンルームは、クラス10万とクラス1万の2つの部屋に分けられています。クラス10万の部屋は、大学などの研究者が使用できる共同利用のためのスペースも用意してあり、クラス1万の部屋では、プロセス装置群を使用して超伝導トンネル素子などを製作することができます。特に、3K宇宙背景輻射の偏光観測に使用するアルミの超伝導トンネル素子などを開発製作してゆく予定です。


クラス10万室 (温度21℃・湿度50%、変更可)


クリーンルーム入り口から見たクラス10万室。この部屋では、ワイヤーボンディング作業もできますが、大学などに共同利用のためのスペース(5m×5m)も用意されています。また左奥に入り口が見えるクラス1万室に入室するための前室にもなっています。今後、3K宇宙背景輻射の偏光観測グループの低温実験やミリ波テスト実験も行われる予定です。

室内で使用可能なもの。


右端がワイヤーボンダーで左2台が光学顕微鏡。


クラス1万室、クラス1000室(イエロールーム) (温度21℃、湿度50%、変更可)


クラス1万室に設置されているプロセス装置群

以下のスパッター、マスクアライナー、ドライエッチング装置を順番に使用し、その工程を何度か繰り返し何層かの薄膜を作成することで素子ができてきます。スパッターで、基板に薄膜を作成し、その上に感光物質であるフォトレジストを塗り、マスクアライナーで露光し、フォトマスクに描かれた素子のパターンを転写します。その後現像し、ドライエッチング装置により、フォトレジストがない部分は削られて薄膜にパターンが形成されます。、

(1)金属膜スパッター (SP-M)



ニオブ, アルミ, タンタルなどの金属膜をスパッターできます。アルミをスパッターした後ロードロック室から取り出さずにアルミ酸化物をスパッターすることが可能。


(2)酸化膜 スパッター(SP-I)

SiO2, Al2O3, MgO などの酸化膜をスパッターできます。


(3)ドライエッチング1号機 (RIE-1 RIE: Reactive Ion Etching)

CH4、H2のプラズマで、物理的・化学的にエッチングする。


(4) ドライエッチング2号機 (RIE-2)


(5) 蒸着装置 (VE)


Al,Ti,Ag,Au,Ptなどが蒸着できます。


(6)段差計


ダイアモンドの触針が試料表面をなぞり一次元のスキャンをします。1mmをスキャンして揺らぎは10nm程度です。スパッターした後やエッチングした後、設計どうりになっているか確かめます。

(7)AFMプローブ顕微鏡

スパッターした後など表面の状態を確認します。



以下の2つは、クラス1000室(クラス1万室の中に設置されてます。)内の装置です。


(6)マスクアライナー


ウェハ上に塗ったフォトレジストに、フォトマスクのパターンを転写する装置です。


(7)実体顕微鏡

フォトマスクのパターンが正しく転写されたかなど確認します。






(2009.01.28)