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第3回測定器開発・優秀修士論文賞(2012年)


第3回優秀論文賞を受賞された2名に、心からお祝いを申しあげます。

  

一戸氏、常世田氏の受賞風景( 受賞記念講演会;高知大学;平成25年9月22日、16:05~ SD会場22pSD @物理学会)

第3回測定器開発優秀修士論文賞は、2013年5月2日に開催された最終選考委員会において次の論文に決定し、2013年9月22日の物理学会秋季大会(高知大学)において表彰式及び特別講演会が開催された。受賞者にはクリスタル製の表彰盾のほか、
本賞協賛企業である セイコー・イージーアンドジー㈱、 林栄精器㈱から副賞としてアマゾン券が贈呈された。

優秀論文賞

論文題目 超小型衛星 TSUBAME 搭載用γ線バースト検出器フライトモデルの開発
本 文 Abstract(565kb pdf)、本文(8Mb pdf)、講演スライド(75Mb)
著者氏名 常世田和樹(東京工業大学)
授賞理由  東工大が打ち上げを目指す超小型衛星に搭載するフライトモデルの開発に学部4年 から3年間取り組んできた成果の集大成で、開発に向け熱い思いが伝わってくる力作 であった。本人の創意が随所に感じられ、放射光ビームテストによりその性能確認ま で行うなど、修士論文の研究として理想的な完成度の高い論文と言える。

 

論文題目 ASTRO-H 衛星搭載軟ガンマ線検出器におけるコンプトン再構成アルゴリズムの開発
本 文 Abstract(5Mb pdf), 本文(46Mb pdf)、講演スライド(33Mb)
著者氏名 一戸悠人(東京大学)
授賞理由  日本が総力を挙げて取り組む大型観測衛星ASTRO-Hに搭載される軟ガンマ線検出器SGDにおけるコンプトン散乱の再構成に対して真正面から取り組んだ大作である。コンプトンカメラからの情報を余すことなく利用して解析をするために、コンプトン散乱という現象と装置の特性の双方を検討し尽くしたと思える完成度が大変印象的であった。

論文選考経過報告

 本論文賞は本年度で3回目となり、応募数は16 編で幅広い分野からいずれもレベルが高い論文を応募いただきました。 事務局といたしましては、応募していただいた学生諸君や指導教官の皆様に厚くお礼を申し上げます。 また、お忙しい中、限られた期日の中で審査をしていただいた選考委員の方々には、多大な時間と大変な労力を割いていただき、厳正かつ綿密な審査をしていただきましたことを、心よりお礼を申し上げます。

 来春にも2013年度の候補論文の募集を行いますので、関係の皆様方には何卒よろしくお願いいたします。

測定器開発優秀修士論文賞 幹事 三部 勉、吉村 浩司

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2012年度  第3回測定器開発・優秀修士論文賞の選考結果

選考委員会(委員長 幅淳二)

<<選考の経過>>
1. 一次選考(3/23 ~ 4/13)
12名の選考委員を2グループにわけ、それぞれ8編の論文を審査し、 各人の評価により順位をつけ、
グループごとに上位の4編を二次審査に ノミネートした。評価項目は以下のとおり、

1) 論文の完成度、
2)背景技術の理解度、
3)開発された測定器技術の意義、
4)研究の独創性、
5)研究における本人の独創性、主体性
6) 測定器開発にかける熱意、最後までやりとげる意志
7) 総合評価(上記以外の特筆すべき点を含める)

2. 二次選考(4/16 ~ 4/29)
一次選考でノミネートされた計8編の論文を審査、各選考委員が 上位3編を選出した。

3. 最終選考 (5/2)
選考委員会を開催し、二次選考の8編の論文を審査して、委員全体で意見交換を行った。
その結果、論文の完成度、内容に優れた 2編に優秀修士論文賞を授与することに全会一致で決定した。

<<総評>>

 測定器開発優秀修士論文賞も各方面からのご理解のもと3年目を迎え、確実に定着しつつあると感じる。今年度は合計16篇の応募が、粒子、原子核、宇宙のみならず、原子物理や放射線医学などを含む広い分野からあって、その広がりを印象付けた。高エネルギー研究者会議、原子核談話会、宇宙線研究者会議より推挙された審査委員の皆様のご協力で、3月下旬より約6週間かけて行われたこれらの候補論文についての審査は、ハードなスケジュールの中にもさまざまな分野にわたる充実した論文から多くを学ぶことができた充実感があり、楽しいひと時でもあった。

 分野を超えて大別されるのが、比較的大きな実験グループの中での長期にわたるシステム開発の中でまとめられた論文と、研究室が中心となって進められているプロジェクトを出発点とした独立性の高いものとである。前者は緻密に組み立てられた開発プログラムに基づき、数世代にわたる開発研究の積み重ねが結実した完成度の高いものである。一方後者は、開発のテーマが比較的完結しており、その内容も学生本人の手作り感と個性あふれる読みごたえのある論文が多い。こうした2種類の論文を同じ土俵で審査するのはなかなかに骨の折れる仕事で、審査委員の苦労は並大抵ではないが、最終的には委員全員一致で、今年度優秀論文賞として下記2編の最優秀論文を選出することできた。奇しくも双方ともに衛星搭載機器に関する研究開発の関連論文となったが、これはひとえに、選考が分野間のバランスなどを一切考慮しないという原則に準じていることの表れであると理解していただきたい。

今年度の審査を振り返って委員一同が感じたことは、「測定器システムにおいてより実戦的に性能を高めるための開発研究」から多くの優れた論文が応募されているが、「測定器の基本エレメントを原理に帰って徹底的に遊んでやろう」という趣の研究がもっとあって良いということである。これは実験の役に立てるまでには時間のかかる息の長い研究をも意味するが、我が国が世界を相手に多角的に競っていく・リードしていくためには、ぜひとも必要とされる研究と人材育成の方向ではないかと考えている。

<<選考委員リスト(敬称略)>>
[最終(二次)選考委員(9名)]
荻尾彰一、竹谷篤、住吉孝行、村上哲也、森山茂栄、花垣和則、三部勉、吉村浩司、幅淳二

[一次選考委員(12名)]
最終選考委員メンバーに加えて、宇野彰二、新井康夫、丸山和純