第3回優秀論文賞を受賞された2名に、心からお祝いを申しあげます。
一戸氏、常世田氏の受賞風景( 受賞記念講演会;高知大学;平成25年9月22日、16:05~ SD会場22pSD
@物理学会)
第3回測定器開発優秀修士論文賞は、2013年5月2日に開催された最終選考委員会において次の論文に決定し、2013年9月22日の物理学会秋季大会(高知大学)において表彰式及び特別講演会が開催された。受賞者にはクリスタル製の表彰盾のほか、
本賞協賛企業である セイコー・イージーアンドジー㈱、 林栄精器㈱から副賞としてアマゾン券が贈呈された。
本論文賞は本年度で3回目となり、応募数は16 編で幅広い分野からいずれもレベルが高い論文を応募いただきました。
事務局といたしましては、応募していただいた学生諸君や指導教官の皆様に厚くお礼を申し上げます。
また、お忙しい中、限られた期日の中で審査をしていただいた選考委員の方々には、多大な時間と大変な労力を割いていただき、厳正かつ綿密な審査をしていただきましたことを、心よりお礼を申し上げます。
来春にも2013年度の候補論文の募集を行いますので、関係の皆様方には何卒よろしくお願いいたします。
測定器開発優秀修士論文賞も各方面からのご理解のもと3年目を迎え、確実に定着しつつあると感じる。今年度は合計16篇の応募が、粒子、原子核、宇宙のみならず、原子物理や放射線医学などを含む広い分野からあって、その広がりを印象付けた。高エネルギー研究者会議、原子核談話会、宇宙線研究者会議より推挙された審査委員の皆様のご協力で、3月下旬より約6週間かけて行われたこれらの候補論文についての審査は、ハードなスケジュールの中にもさまざまな分野にわたる充実した論文から多くを学ぶことができた充実感があり、楽しいひと時でもあった。
分野を超えて大別されるのが、比較的大きな実験グループの中での長期にわたるシステム開発の中でまとめられた論文と、研究室が中心となって進められているプロジェクトを出発点とした独立性の高いものとである。前者は緻密に組み立てられた開発プログラムに基づき、数世代にわたる開発研究の積み重ねが結実した完成度の高いものである。一方後者は、開発のテーマが比較的完結しており、その内容も学生本人の手作り感と個性あふれる読みごたえのある論文が多い。こうした2種類の論文を同じ土俵で審査するのはなかなかに骨の折れる仕事で、審査委員の苦労は並大抵ではないが、最終的には委員全員一致で、今年度優秀論文賞として下記2編の最優秀論文を選出することできた。奇しくも双方ともに衛星搭載機器に関する研究開発の関連論文となったが、これはひとえに、選考が分野間のバランスなどを一切考慮しないという原則に準じていることの表れであると理解していただきたい。
今年度の審査を振り返って委員一同が感じたことは、「測定器システムにおいてより実戦的に性能を高めるための開発研究」から多くの優れた論文が応募されているが、「測定器の基本エレメントを原理に帰って徹底的に遊んでやろう」という趣の研究がもっとあって良いということである。これは実験の役に立てるまでには時間のかかる息の長い研究をも意味するが、我が国が世界を相手に多角的に競っていく・リードしていくためには、ぜひとも必要とされる研究と人材育成の方向ではないかと考えている。